札幌中央郵便局が政治漫画展示を拒否

「第38回ほっかいどう漫画集団展」が2008/12/12?19に札幌中央郵便局のロビーにて行われていたのですが、16日の地元紙北海道新聞によると、郵便局側が一部の政治風刺作品の展示を断っていたそうです。
政治風刺漫画はダメ? 札幌中央郵便局、一部作品を展示拒否(北海道新聞web)

うーん、政治漫画というものが、単純に政治活動を見なされてしまうのが非常に残念です。たしかに現在の漫画文化の中ではだんだんとスミに追いやられてますが(年々新聞での掲載頻度も減少してます)、政治漫画の歴史はたいへん長いです。遡ると一万五千年年前の旧石器時代の洞窟壁画までたどることができる!と明言された方もいらっしゃいますし、日本の近代では1862年にチャールズ・ワーグマンが横浜で創刊や『ジャパン・パンチ』を元にすれば、それに影響を受けた『団団珍聞』(まるまるちんぶん)や、その後『時事漫画』や『東京パック』で活躍し、異までは「日本の近代漫画の祖」と言われる北澤楽天の登場により、さまざまな漫画や漫画家が登場し、戦後を経て現在に至ります。

で、今回展示を拒否したことはいくつかの問題点があります。

  1. 会場側が政治漫画を問題のあるモノとしている
    たしかに施設管理者としては問題のあると判断すれば、それを拒否すべきです。しかしながら、政治漫画は特定の人物を誹謗中傷するものではありません。政治を描くことは、その政治を分析しコマの中に投射することで分かりやすく、また問題点を明確にすることとなります。それは批評のみならず分析でもある訳です。政治を描かれたことのみで問題にするというのは早合点しすぎでしょう。記事の中で佐藤会長が「政治風刺は庶民が政治家をどのように見ているか知ってもらう手段の一つ。」というのは、それを明確に示した言葉です。
  2. 政治を漫画で描いたから問題なのか?
    (仮の話ですが)たとえば、今回のことが川柳の展示であったらどうでしょうか?社会の出来事のネタとして現総理を扱ったモノは当然でてくるでしょう。そのなかで”みぞうゆう”という言葉があったら、同じように選んでそれを拒否していたのでしょうか?
  3. マンガを狭く捉えてはいけない
    社会諷刺を密接な関係にあることは、近代マンガの成立を紐解くと明らかです。しかし、残念ながら「マンガ=子供の読み物」という構図のみでマンガを評価してしまう見方がまだまだ多いようです。今回のようにマンガの要素の一つであった諷刺の表現がタブーとなれば、マンガの面白さが削がれてしまいます。
  4. 自己規制を作ってはいけない
    そもそも、政治漫画は新聞にも載っているものです。それを載せているのは政治が公共のものであり、それを批評するのは公共のものだから故です。それに対し何らかの負の力が働くのはあってはならないことですし、ましてやそれにつながるおそれのある自己規制は極力あってはならないものです。もちろん、公共を何処に捉えるかでその根拠は異なるでしょうが、幕末から現代にかけて先人が勝ち取ってきた自由民権運動のなかに、今のマンガ表現も存在します。みすみすそれを手放すことはしてはいけません。

北海道はおおば比呂司氏をはじめ、数多くの漫画家を輩出した大地でもありますが、そこでマンガ表現の否定が行われたことは残念なことです。

日本では今までも、公共の場と政治漫画の表現に関してはいくつかの問題がありましたが、その辺はそのうちまとめさせて頂くとして、とりいそぎ記事のご紹介です。

これまでのコメント

  1. 長谷邦夫 :

    はじめまして。

    非常に残念なことですね。
    まだ「民営化」された?という意識が管理職には
    無い!ってことも考えられます。

    マンガ文化の浸透度は高いはずの日本。
    まだまだなんでしょう。
    文化というものへの、一般の方がたの関心というものも、
    <大きく花開いている>ように表面は見えても、
    その薄さは、他の表現においても見掛けます。

    横尾忠則作品を<子供に見せるのはよろしくない>とした
    美術館もありましたし。

  2. 新聞マンガ研究所 管理人 :

    はじめまして&最近ブログさぼり気味でスミマセンです。

    郵便局は、民営化する際「民営化の手続きで大変だから」という理由で2007年に休止したことがありました(翌年には復活しましたが)。今回の出来事も、民営化という言葉で踊らされてきたのかと、少し目の覚める思いでした。

    おっしゃるとおり、マンガ文化の浸透度は高く、コンテンツビジネスとしてはかなりの成熟期になっているにもかかわらず、マンガ表現(特に自己表現や社会批評といた部分)といった、マンガ表現に内在する諷刺というモノに対して、キチンと理解しよう!という雰囲気が寂しいですね。

    新聞マンガっていうモノも、あまり関心を喚ばれない分野でもありますが、ただ、そこに表現されたものをもう一度掘り起こしてみると、なにか新しい見方が見えてくるかなぁ・・・・と思い、チマチマHP更新したりしています。

    今後もよろしくお願いします。

  3. 郵便日本 :

    残念ですね!
    政治漫画展示を拒否されたこと。

    PS:「第38回ほっかいどう漫画集団展」の資料を探しています、ここに来た。
    コメントを残して見たいとおもいます。
    よろしくお願いします。

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